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【2025/03/31 21:00 】 |
心霊捜査官静戒龍 一章捜査-2~凶器
さて、Pixivにも投稿しましたが、静戒龍の続編です。
いやぁ、我ながらいいペースで書いてるんじゃないかなぁ。

「捜査資料を見せてもらいにね」

「好きにすればいいと、俺も言ったな」

「ええ。ですから、勝手に見せてもらいに来ましたよ」

言うと、静戒は手近な机にあったファイルとホッチキスで留められた冊子を手に取った。

本城の手にある物と御同じセットだ。

「一応だけ聞くが、説明は必要か?」

「いえ、結構。コレでも刑事ですから。資料の見方くらいは分かりますよ」

言いながらページをめくる。

「見終わったら声をかけてくれ。俺は鑑識にいる」

「はいはい」

部屋を出て行く本城を見送る。

 

「………」

目を走らせながらページをめくる。その速さはただただページをめくってくるとしか思えないほど速い。

「………」

十数ページ読み進めたところでページをめくっていた右手が止まった。その手は口を覆うように顎に当てられる。

なんだコレは……?

静戒の視線の先にあるのは現場写真。その中でも遺体写真のページだ。

「水晶……?」

先ほどの現場で静戒が気にしていた右手。

そこには綺麗に球体にカットされた水晶が握られていた。

いや、正確には握られていただろうと言うべきか。右手は半開きになり、その中からこぼれ落ちる形ですぐ横に水晶がある。そう言う写真だ。

現場保存は初歩の初歩。誰かが手から放させたとは考えにくい。仮に犯人ならば、そこまでして置いておいていくはずがない。

「コレは、実物を見ねぇわけにはいかねぇな」

資料を閉じると、静戒は薄笑いを浮かべて捜査本部を出た。向かうのは鑑識課。

 

静戒の目に映ったのは、水晶だけではなかった。

彼の眼にはその水晶にうっすらと赤い光が入り込んでいるのが確認できた。

写真に写り混んだり、ましてや水晶に反射した光ではない。水晶の中身が光って見えたのだ。

もっとも、中にそう言った加工をすればそう言う物ができあがるが、それはその資料を幾度も見たであろう捜査員達の目には映っていなかったであろう。

つまり、一部の物だけが読み取れる……心霊写真の一種。そう考えてもらえれば分かるだろう。

写真に仮に人の顔が映り混んだとして、それが何らかの霊症である場合、普通の人のは顔しか捉えることができないが、専門の人間が見れば、それ以外にも見える物がある。

オカルト番組などで単なる顔だけの心霊写真から恨みの念だの守護霊だのと見分けられるのは見る人が見ればソレだけが映っているわけではないと分かるからだ。

それはつまり、一見何もない写真であっても、実は心霊写真の類と言うこともあり得ると言うことだ。

今回の写真がそうだったのであろう。

そして、静戒はその水晶の現物に何らかの力を感じた。

遠藤氏を殺した犯人の痕跡を。

 

「本城さん、資料ありがとうございます」

鑑識課の保管庫に入ると、静戒は本城を探して声をかけた。

「おや、もういいのか?てっきり時間がかかると思ったのだがな」

「いえいえ、必要な物は見せていただきましたので。で、今度は各証拠品の実物を見たくてこちらに来たんですけどね」

「なるほど。此処は他の事件の物もある。今回のヤマのは今そっちのテーブルに出してある分だ。俺も今見ていてな。一通り確認し終えたところだ」

「そうですか……」

言って静戒は広げられた証拠物を端から見ていった。

二つ目の机に取りかかった矢先、ソレはさらなる輝きを帯びて静戒の瞳に映った。

「本城さん、コイツ、借りてってもいいですかねぇ?」

机の上に置かれビニール袋に入った野球のボールほどの大きさの水晶玉を指さし聞いた。

「証拠物の持ち出しは禁止されている。本店ではそんなことも教えられないのか?」

小馬鹿にした口調で言う。

「まさか。でも、許可があればいいでしょ?刑事部長に今から許可を取ります。だから、あなたにも一応承認して欲しいンですけどねぇ……」

刑事部長という言葉の時に一瞬本城のこめかみが動いた。

「好きにしろ。だが、そんな水晶玉、どうするつもりだ?」

「どうって、コレが凶器なんですよ」

持ち上げると、ソレを差し出すような形をして静戒は言った。

 

「訳の分からないことは言わないでもらおうか」

「何が変わらないと?」

「遠藤は首を、頸動脈を一太刀で斬られている。凶器はまだ見つかっていないが、相当な切れ味を持った刃物だ。科捜研や監察医の話では間違いなく鋭利な刃物だと聞いている」

「それで?」

「………ソレは鈍器にはなるだろうが、切り傷を作れるわけがない。仮に割られていた物ならば話は別だが」

苛立った口調で本条は言う。

「そうは言ってもねぇ、コイツが一番死のにおいが強い。それに禍々しい紅い気で満ちている。間違いなく人を殺めた後の霊症だ」

「レイショウ?」

「あんたには詳しく説明してやる義理はねぇ。もっとも、説明したところで納得できるとも思えねぇがな」

「ソレが、オカルト好きの占い師の見解か?」

「占い師ねぇ……」

警視庁内外で超常現象対策室のコトをそう言っているのは知っている、現に捜査一課の中でもさんざんそう小馬鹿にされている。

決して気分のいい物ではない。

しかしながら、自分にない力を持った物を恐れ忌み嫌い侮蔑するのはいつの世でも在ること。

ソレが時には魔法であり、時には科学であり、そして霊力である。

魔女裁判なんかが一番いい例だ。

「ま、あんたがどう思ってもいいさ。トニカク、コイツは凶器なんだ。借りてきますよ」

言うと、水晶をポケットに突っ込み、新宿西署を後にした。

その後ろ姿を苦虫を噛み潰したような顔で本条が見ていたのは言うまでもない。




取り敢えず、此処まで。
あ、ちなみに、近々一章は終わります。
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【2011/05/25 17:18 】 | 小説 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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